お嬢様になりました。
「ありがとうございました」



店員に見送られながら、俺たちは店を後にした。



「玲が一緒に居てくれて良かった」



葵は満足そうな顔をして、プレゼントの入った紙袋を手にぶら下げている。



「葵って本当、変わってる」

「え!? 私変な事した!?」



変なところは多々あるけど、並べ始めたらきりがない。


そこが葵のいいところでもあるわけだし。



「こういう店で買い物する時に、現金で支払う奴いないだろ。 普通カード使う」

「そうなの!? でも私カード持ってないし……」

「学校のカフェではカード使ってるだろ」

「あれはお祖父ちゃんのカードだよ」

「そのカード使えば良かったんじゃないのか?」



わざわざ現金で払う必要ないと思う。


俺は今日は現金を持ち歩いてるけど、普段はあまり持ち歩かない。


かさばるし、何より現金払いなんて面倒臭い。



「それじゃ意味ないじゃん」

「意味ない?」

「お祖父ちゃんへのプレゼントなのに、お祖父ちゃんのお金使ったら意味ないって事」

「でもそのお金もお祖父ちゃんに貰ったお金だろ?」

「違うよー。 これは自分でバイトして貯めたお金。 貯めたって言っても、たかがしれてるけどね」





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