お嬢様になりました。
「こんなに華奢な体じゃ耐えられない」

「き、華奢じゃ、な、ないよっ」



いつもは俺が葵を見下ろしているのに、今は逆だ。


葵は目を泳がせ、俺と目を合わそうとしないい。


後三十分、観覧車が一周する間ずっといじめたおしたくなる。



「もっと聞かせて」

「な、何を!?」

「葵の事」



慌てふためく葵をこのままずっと見ていたい。



「わ、分かった。 分かったから下ろして!!」

「このままがいい」

「私は無理!!」



俺はこのままの方が面白いし落ち着くんだけど。


ただ下ろすだけだと面白くない。



「キスして」

「は、はい!?」

「早く」



下唇を噛み、涙目になる葵。


そんな顔してもダメ。


それにそんな顔されたんじゃ、キス以上のことをしたくなる。


葵はそんなつもりはないんだろうけどね。


俺は目を瞑った。



「いつでもどうぞ」

「もうっ!! 何でそんなに強引なの!?」



葵にだけだ。


他の女にこんな事しない。


触れたいのも、キスしたいのも、側に居たいのも葵だけ。


柔らかい感触がして、その感触がなくなったと同時に目を開けた。



「な、何?」

「まさか、今ので終わり?」

「頑張ったんだからもう勘弁してっ!!」



まさかおでこにキスされるとは思っていなかった。


キスと言えば普通唇じゃないのか?


まぁ、葵にしては頑張った方だし、今回はこれで許してあげるかな。





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