お嬢様になりました。
観覧車が地上につく迄の間、知らない葵をたくさん知った。


人と深く関わる事は面倒臭くて、避けてきた。


そんな自分が今こうして一人の人間に興味を持って、深く関わろうとしている。


もっと関わりたい。


葵にも俺の事を知ってもらいたい。


こんなに強い感情を持ち合わせていた事に、自分自身驚きを隠せない。



「夜ご飯までご馳走になっちゃってごめんね……」

「俺が葵と居たかっただけだから、気にしなくていい」

「なんかさ、玲って、テレビの中から出てきた人みたい」



テレビの中から?


葵は照れた顔をごまかす様に、グラスに入ったジンジャーエールを飲み始めた。



「テレビには出た事ない」

「そういう意味じゃなくて、テレビドラマとかに出てる人が言う様なセリフをサラッと言うから、テレビの中から飛び出てきたみたいって事だよ」

「ドラマとか見ないからよく分からない」

「テレビ見ないの!?」



そんなに驚く事?


テレビを見なくても雑誌だとか新聞だけで、十分世間の事や情勢を把握できる。



「葵はテレビよく見るんだ?」

「テレビっ子だもん。 ドラマ、バラエティー、ニュース、色々見るよ」

「ニュース見るんだ。 意外」

「失礼なぁー!! こう見えてもニュース見るんだから。 まぁ新聞とかじゃよくわかんないから、ニュース見るしかないんだけどね」



葵は気取ったり、人をバカにしたりしない。


どんな時も自然体だ。





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