お嬢様になりました。
撮影が始まり、玲に視線を向けた。


玲が立っている場所だけ、まるで別世界だ。


男の人に使っていい言葉なのかよくわかんないけど、綺麗だと思った。



「すみません」



玲の姿に見惚れていると、紺のスーツを着た男性に声を掛けられた。



「はい……」

「私、レイのマネージャーをしております、松本(マツモト)と申します」



玲のマネージャーさん?


凄くキッチリしてそうな人。


荒木さんには負けるけどね。



「失礼ですが、レイとはどの様なご関係でしょうか?」

「え? 玲とはクラスメイトです」

「お名前をお伺いしても?」

「あ、すみませんッ。 宝生院です」



松本さんの眉毛がピクッと動いた。


心なしか驚いている様にも見える。



「レイのクラスメイトの宝生院さんと言う事は、宝生院グループの方、と言う事でしょうか?」



そういう事か。


最近は驚かれる事もなかったから、忘れてた。


自己紹介する度にこんな顔されてたっけ。



「はい。 宝生院グループは祖父が会長を務めているグループです」

「そうでしたか。 ご挨拶が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした」






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