お嬢様になりました。
「行くぞ」

「えっ!?」



私の手を握り、勝手に歩き始めた隆輝。


あまりの強引さに、抵抗する余裕と力もなく、どんどん山口君たちから離れていく。



「山口君っ!! 本当にごめんね!! また放課後温室でねっっ!!」



私はバカみたいに大きく手を振った。


そんな私を見て山口君は笑顔を零し、隣にいる女の子は複雑そうな顔をしていた。



「もう少しゆっくり歩いてよ!!」

「うるせぇ。 俺は腹減ってんだよ」



私もお腹空いてるっつーの。


いったい誰の所為で、お昼ご飯の時間が遅れてると思ってんのよ!!


……あっ!!



「あ? 急に立ち止まるんじゃねぇよ。 さっさとカフェに行くぞ」

「せっかくここまで来たんだし、一般校舎のカフェでお昼ご飯食べようよっ」



芽依が、一般校舎にも学食としてカフェがあるって言ってた気がする。


ちょっと気になってたんだよね。



「お前、それマジで言ってんのかよ?」

「大マジだよ!! 私にもお詫びとして何か奢ってよ」

「詫びって何だよ!? お前に詫びるような事なんて一つもしてねぇだろ!!」



え?


この人本気で言ってんの?


だとしたら、マジで信じらんない。






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