お嬢様になりました。
わざとらしく目を細め隆輝をジーッと見ていたら、隆輝は頭をかき大袈裟に溜息をついた。



「あーくそッ、ここのカフェに連れてきゃいいんだろ!!」

「隆輝の奢りね」

「チッ、意味わかんねぇ」



悪態をつきながらも、隆輝は私の手をギュッと握ったまま離そうとはしなかった。


口ではなんだかんだ言いながらも、実は優しかったりするんだよね。


素直じゃないんだから。


隆輝の手をキュッと握り返すと、少しだけ隆輝の頬が赤く染まった気がした。


私と目を合わせないのはわざとなのか、そうじゃないのかは分からないけど、その様子が可愛く思えた。



「一般校舎のカフェが何処にあるか分かってんの?」



さっきから迷わず足を進めてるけど、普段来ない一般校舎の中の創り、分かってんのかな?


私なんて、来た道すらもうわかんない。



「問題ねぇよ。 校内図なら頭の中に入ってる」

「え!? 特別校舎だけじゃなくて、一般校舎も!?」

「自分の通ってる学校の事知らねぇでどうすんだよ」

「あはは……」



変な所でしっかりしてるんだよね。


私なんて未だに特別校舎の中すらよく分かってないよ。






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