お嬢様になりました。
放課後は毎日温室に通うようになった。


隆輝に聞くまで、特別校舎に温室があるなんて全く知らなかった。


私ってば本当にここの事何も知らないんだな……もっとしっかりしなきゃ。



「宝生院さん、少し休憩しましょうか」

「え?」

「まだ今日は一度も休憩してませんし、疲れたでしょう?」



山口君の頬の腫れも引き、この間の事が嘘のように穏やかな時間が流れている。



「座ってるだけなのに疲れるわけねぇだろ」

「うるさい暇人」

「あ? 仕方なく付き合ってやってんだから、有難く思え」



有難く思えって……誰も一緒に居て欲しいなんて頼んでないんだけど……。


何故か隆輝まで温室にくる様になってしまい、放課後は山口君と隆輝と三人で過ごす事が自然な流れになっていた。



「僕飲み物買ってきます」

「あっ、私行ってくるよ!!」

「いえ、宝生院さんは海堂君とここに居て下さい」



笑顔で温室を出て行ってしまった山口君。


山口君が優しい性格だから、隆輝が居てももめずに済んでるんだろうなと思う。


絵を描くだけでも大変だろうに、気まで遣わせちゃって本当に申し訳ない。





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