お嬢様になりました。
第十二話 逢いたい
退院する日、病院までお祖父ちゃんが迎えに来てくれた。


車に着くと、浅賀さんがドアの前に立っていて、深々と頭を下げた。



「葵お嬢様、退院おめでとうございます」

「ありがとうございます」



私たちが車に乗り込むと、車は静かに動き出した。


荒木さんはお家で待っててくれてるのかな?


帰ったら謝らないと……凄く迷惑掛けちゃったからな。



「葵、これからはお前さんに護衛をつける」

「護衛!? 何で!?」

「またこんな事になってはいかんからな。 その方が安心じゃろ?」



どこぞやのハリウッドスターじゃあるまいし、護衛なんて……。


それもこんな女子高生一人に大袈裟な……。



「気持ちは嬉しいけど、そこまでしなくていいよ」

「じゃが……」

「今度からちゃんと相談するし、危ない時、危ない場所で一人にならない様にするから、ね?」



お祖父ちゃんは腕組みをして、目を瞑って難しい顔をしている。


今回は自業自得なところもあるし、次もし似たような事があれば大丈夫だと思う。


今回のストーカーがどうなったのかは詳しく知らない。


警察の人と話はしたけど、詳しくは聞かなかった。


知りたくもないし、もうこれ以上関わりたくなかった。


警察に捕まったとだけ聞ければそれで十分だった。


だから後はお祖父ちゃんに任せてしまった。





< 330 / 360 >

この作品をシェア

pagetop