お嬢様になりました。
「葵ーっ、今日何処で食べる？」



お昼の時間になるといつも笑顔で駆け寄ってくる華(ハナ)。


高校に入学して直ぐに仲良くなった。


運がいい事に、二年でも同じクラスになった私たちは、一年の時よりも仲良くなった様な気がする。



「なんか移動するの面倒臭いから教室でいいや」

「面倒臭くない日の方が珍しいよね」



華が笑うと穏やかで優しい空気が流れる。


私と違って女の子らしい華とこんなに仲良くなるとは思ってなかった。


お弁当を広げると私たちの横の席に誰かが腰を下ろした。



「お前料理の腕だけは女だよなぁー」

「煩いなぁー。 他で食べなよ」

「俺が何処で食べようが俺の勝手だろーが」



こいつ……。


そりゃそうだけど私は華が一緒ならそれでいいんだけど。


華と仲良くお喋りしながら売店のパンを頬張っている同じクラスの竜樹(タツキ)。


こいつは必ずと言っていいくらい、学校にいる時はお昼の時間になると私たちの所にやってくる。



「もーらいっ」

「あっ！！」



抵抗する間もなく、私のミートボールが竜樹の口の中へと消えてしまった。


私の貴重な食料が……。





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