お嬢様になりました。
みんな車で登校?


あり得ないんだけど……。


しかもみんなこんな車に乗ってるって事?



「それに、葵お嬢様に何かあってからでは遅いのですよ」

「何かって……何ですか?」

「葵お嬢様が宝生院のご令嬢だと知れ渡れば、色んな人間が近付いてくるでしょう。 良い人間も悪い人間もです。 葵お嬢様に害をなす者たちからお守りするのも私のお役目でございます」



お金持ちのお家の子供が誘拐されたりする様な事が、今後は私の身にも起こるかもしれないって事?


あんなの完璧他人事だと思ってた。


今まで気にした事のない事もこれからは考えなきゃダメって事だよね。


優つな気分になり、私はガックリ肩を落とした。



「いつ、どんな時でも葵お嬢様の送り迎えはさせて頂きますので、宜しくお願い致します」

「はい……宜しくお願いします」



半ばヤケクソになりながらそう答えるしかなかった。


背もたれにうな垂れながら、スクールバッグの口を開けた。


なにこれ……。


鞄の中には見覚えのないピンクの長財布にピンクのキーケース、それから同じくピンクの筆箱が入っていた。


これ、全部超がつく程の高級ブランドじゃん。


しかも同じデザインで揃えられてる。





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