お嬢様になりました。
私なんかが手にするのなんて恐れ多いくらいの高級品が、何でこんなところに!?


ん?


封筒?


唖然と鞄の中を見ていたら、白い封筒を見つけた。


封筒の表には達筆な字で“葵へ”と書かれていた。


裏を見ると“祖父より”と書かれていて、私は首を傾げた。


封を開けて中の手紙を取り出すと、お祖父ちゃんからのメッセージが記されていた。



葵へ

お祝いとして幾つかプレゼントを鞄の中に入れておる。葵が使っておった物も捨てずにとっておるから、もし必要なら言うてくれ。少し遅い高校の入学祝いじゃが、喜んでもらえたら幸いじゃ。では、身体に気を付けて学校生活を満喫しなさい。

祖父より



手紙から再びプレゼントへと視線をずらした。


こんなに高価なものじゃなくて良かったのに。


それでもお祖父ちゃんの気持ちが嬉しくて、プレゼントに触れると笑みが零れた。


帰ったらお祖父ちゃんにお礼言わなきゃ。


手紙を封筒に入れ、鞄にしまうと車が静かに動きを止めた。



「葵お嬢様、鳳学園に到着致しました」



も、もう!?


ヤバイ。


心の準備が中途半端過ぎる。






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