しいと星屑
「あのっ…!」
おもわず大きめに声を出してしまった
いつもの数倍は大きい
私の声はちゃんと彼に届いたらしく
私の方に振り向いた
でも、彼は何も言わない
なんだろう、この空気
私、話してもいいのかな…?
話すことに慣れていない私は、
どうしたらいいのか分からなかった
しかしこの沈黙を破ったのは彼だった
「…ごめん」
そういうと彼は私の本を置いて
ドア付近に立っている私の方へと来た
何か言うのかな、と思った
でも彼は私の脇をするりと抜けて
何処かへ行ってしまった。