しいと星屑



「ずっと千文ちゃんと話してみたかったの!」


そんな訳ないよ



雪乃ちゃんみたいに明るくて、
いつも周りに友達がいる様な子が、


こんな私と友達になりたいだなんて



そうだ、夢だ!

夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ!!!!


必死に手で頬をつねる私を見て、
彼女は「フフッ」と笑った



…痛い。


…夢じゃない。





「よ…よろしくね」


私の口から出た、
精一杯の気持ちがそれだった



彼女は手を振って自分の席に戻って行った




「雪乃ちゃん、雪乃ちゃん」

私は小声で何度も言ってみた

もちろん彼女は気づかないけれど

なんだか"友達の証"みたいなそれが

すごくすごく嬉しかった



友達っていいな

友達って楽しい

友達って嬉しい



小学生や中学生の頃は、
"友達"とはっきり言える存在がなかった

上っ面だけっていう感じで

ただいっつも一緒にいるだけで。



だからさっきみたいに、
私だけに向けてかけてくれる声が



嬉しくて嬉しくて、たまらない。




< 20 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop