しいと星屑
私と本と雪乃ちゃん
学校に着くと、
なんだか体全体からドッと疲れが出た
男の子を全力疾走で追ったからだろう
普段運動をしない私は、
少し走っただけで筋肉痛になりそう
「千文ちゃん、おはよう!」
雪乃ちゃんが話しかけてくれた
とっても嬉しくて、涙が出そう
「お…おはよ」
あ~!なんで上手に話せないんだ、私
もっと話せる事があったのに。
『今日あったかいね』
『課題やった?』
思い付くフレーズは沢山ある
あるのに、言葉に出来ないんだ
「千文ちゃんさあ、どうなの?
好きな子とか、いないの?」
「い…いないよ!」
必死で否定しておく
もし私に好きな人がいたとしても、
きっと教えなかっただろう
女子の噂話は怖いんだってこと、
すごく知っているから。
「え~そうなの~?」
雪乃ちゃんはわざと、
猫撫で声で言ってみせた
雪乃ちゃんは、結構可愛い顔をしている
目が大きくてまつげが長いし、
なにより肌が綺麗なんだ
おまけに声が可愛いから、
男の子にモテる事間違いない。
それに比べて私は、可愛さの欠片もない
自分で言うのもなんだけど、
全体的に中途半端で普通な顔
特徴がないっていうか、
なんていうか。
雪乃ちゃんの髪が、フワッと浮いた
彼女が動く度に揺れる髪が、すごく綺麗
ゆるい、肩下までの天然パーマは
今まで見てきたパーマの中で一番綺麗…
思わず私は、自分の髪を見つめた
後ろの首もとで縛っただけの、
つまらない髪型
くせっ毛の方がストレートよりも、
可愛いよなあ
と感じてしまう。