しいと星屑



科学室へ向かっていると、
雪乃ちゃんが顔をにやにやしていた

なんだか少し怖い笑みだ…

それに対して私は怪訝な表情をしてみた

「…な、なに?雪乃ちゃん」

恐る恐る聞いてみると、
彼女は得意気な顔をさせた


いわゆる、"ドヤ顔"ってやつ?


「千文ちゃん、
あの子の事好きなのね?」

「え!?」

私は思わず、抱えていた筆箱を落とした

「どうなの?当たりなの?」

雪乃ちゃんは、凄く興味深々なご様子。

楽しんでるよなあ、完全に。



"好き"…なのかな?


私はよく考えてみる


私は、誰かを"好き"になったことが
ないせいで、その感覚が分からないんだ


だって、恋愛小説とか少女漫画はよく

『きゅんきゅんする』

だとか

『胸がチクチクする』


なんて書いてあるけれど、

私はそんなことないし。


きゅんきゅんって、アレかな?

可愛い動物を見るとなる感じ

私はそんな感じは全くしないし。


胸がチクチク?

私は何ともないし。


「ごめん…私、なんとも思ってないよ」

雪乃ちゃんをがっかりさせちゃうかな?

私のこと、『つまらない』って思う?


「なんだ、そっかあ。
でも仕方ないよねえ~」


雪乃ちゃんはそう言ってくれた


そうだよ、雪乃ちゃんは優しいから


私が思ってるような事を言う子じゃない





ありがとう雪乃ちゃん





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