しいと星屑
「おはよう千文ちゃん!」
朝、教室に入ると
いきなり雪乃ちゃんが声をかけてくれた
嬉しい嬉しい嬉しい!
私のモチベーションは
完全に上がってる
こういう何気ない朝の挨拶が嬉しいよ
「おはよう、雪乃ちゃん」
すると彼女は私の顔を
まじまじと見つめた
もしかして朝のおかずが
歯に挟まってるのかもしれない…
私はいそいで口を閉じて、
もごもごさせた
そうすると彼女は少し大袈裟に笑う
「違うよ~!クマ!」
「…え?」
…熊?
雪乃ちゃんは私に向けて鏡を差し出した
花柄の可愛らしい手鏡。
「ほら、千文ちゃん、
目の下にくっきりクマができてる」
鏡に写る私の顔は、本当に不細工だった
躊躇なく『私は不細工です』と言える顔
私は目をぱちぱちさせたり、
指で目を伸ばしたりしてみた
けれど全然クマは消えなくて
その代わりに大きな溜め息が出た
「だめですよお千文ちゃん、
夜はきちんと寝なくては!」
雪乃ちゃんが、可愛らしさ満天の笑顔で
不細工な私の顔を覗く
最悪だ…これでは朔に見せる顔がない
今日はなるべく避けるようにしよう…