しいと星屑
「あ、千文ちゃん!噂をすれば…」
雪乃ちゃんが向けた視線の先には、
丁度登校してきたと思われる
君の姿があった。
けれども私が視線を向けたのは、
君ではなく雪乃ちゃんだった
彼女の目は優しくて、暖かい、
けれども少し切ない目をしていた
私はそんな彼女の目を見ると、
なんだか申し訳ない気がした
雪乃ちゃんが朔を気になっているのは、
なんとなく分かる
すくなくとも、好意はある
なのに私は、秘密で朔と話した
申し訳なくて、ずるくて、せこい
私は最低な奴だ。
雪乃ちゃんの方がお似合いだし
朔を楽しませることができるし
絶対に朔は雪乃ちゃんを選ぶだろう
けれどもその"絶対"の裏に隠れる、
ほんの少しの可能性に
期待している自分がいるんだ
"恋"とは、なんて厄介なものなんだろう
私はまだ、"恋"に慣れていないようです