あの日の1P
しばらくの沈黙の中、彼が口を開いた。
「お前、名前なんて言うん?俺、西畑紫耀やけん。よろしくな」
「私は、永瀬結衣。・・・・そういえば、今、何時かわかる?」
おもむろに自分の右手の袖口を見て、こういった
「うんとな・・・8時10分!!??」
「えっ!どうしたの・・・?」
「あかんわ!遅刻する!結衣、自転車に乗り!!俺、全力で漕ぐけん」
焦る姿もかっこよかった。
私は、すぐに自転車の飛び乗った。
「結衣、遠慮せんでもええから、しっかり俺につかまるんやぞ。」
「う、うん・・・」
戸惑う、私を尻目に紫耀は漕ぎ始めた。
いきなり、動き出したから、迷う余裕もなく、言われた通り紫耀の背中につかまった。
ほのかに香る制服からの甘いにおいは、不安を取り除いてくれるかのような落ち着く香り。
本当に、気持ちが楽になったの。
そうこうしているうちに、学校に着いてしまった。