男ときどき女
気に入った眼鏡を選んでもらい、とりあえずは目的達成だ。

いや、目的以上の収穫があった。


駅でサクラと別れを告げた後、電車の中で少々揺られながら考えていた。

ほぼ間違いなく昔の“サクラ”と今の“サクラ”は同一人物だ。


こんな偶然まずありえない。しかし、すっかり舞い上がっていた俺はものすごくプラス思考だった。


今まで男とむさ苦しく過ごしてきた毎日は、きっとこの日のための試練だったんだと。

電車を降り、ニヤニヤした顔を必死に抑えながら自宅へと向かった。


携帯の時計を見るともう六時だった。太陽は今だ沈まず、季節を感じさせる一面を見せていた。


< 24 / 55 >

この作品をシェア

pagetop