男ときどき女
気付けば怜と二人っきりになった。


「怜君はトイレ行かないの?」

というか行ってほしい。


すると彼は、自分の名前を呼ばれていることに感動していたらしく、一瞬「え?」という顔をした。


二、三秒後。


「行かないよ。ユイちゃんを一人にするわけにはいかないしね」



いちいち怜の言動に鳥肌をたてるとキリがないんだけど、この時の彼は頼もしい男に見えた。


「ありがとう」


こういう時普通は礼を言うもんだ。


いや、ただ俺が望む理想の人がそうあって欲しいだけかもな。



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