男ときどき女
この手の反応には慣れている。もっとひどい扱いがあったから。


小学生の時だった。


毎年学年があがると、黒板の前に立って「このクラスでの目標」みたいなのを一人ずつ発表していく機会があった。


早寝早起き、家の手伝い。みんなありふれた目標を掲げていく中、俺だけは前に立つと。

「“男になる”じゃないのー?」


笑いを交えながらクラスの男子どもが声を張る。


その度俺は大暴動を起こした。


そしてその度親父に叱られた。

「男になれ」と。


小学生の頭では意味がわからなかった。

馬鹿にされたのかと思って俺は親父の足を蹴った。

頭にこぶができた。


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