男ときどき女
後ろにいた親父の顔が急に爽やかになり。

「お客が来るなら先に言えよ!」

俺の肩をバンバン叩き、上機嫌のようだ。


「…エロ親父」


聞こえないように言ったはずなのに、さりげなく髪の毛を抜かれた。


親父は家に二人を案内するため、背を向けて入り口へ。

すかさず俺は足を引っかけた。

親父は怒りのマークがよく似合う顔をして、襲いかかってきた。

「何すんだー!」

お互いさまだと思いながら取っ組み合いになる。


体格の違いにより、勝負の決着は早かった。

親父が得意の寝技で俺はたまらず床を叩く。


その様子を見るサクラは、どこか優しい眼差しだった。



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