男ときどき女
改めて見る家の玄関は狭い。

人間二人が立つだけで、そこは満員電車のような居心地だ。


右に首を向けると下駄箱がある。

大半はこれのせいだ。絶対そうだ。


他人に家の玄関を見られるのは少し照れくさい。

可奈はほぼ家の住人だから気にしない。


家は二階建てで、玄関に入った時に階段がみえる。

二階に俺の部屋と姉貴の部屋がある。

俺は二人を自分の部屋に案内し、「片付けてくる」と言って待たせた。


「いいじゃん別に」

可奈の面倒くさそうな声が聞こえた。

よくねーよ。これだから幼なじみは困る。



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