【BL】仕方ないじゃん!



「そんな睨むなよ。いい加減言い掛けてたこと教えろって」
「………カラオケ行きたいなって思ったんだ。この前は楽しむ前に帰っちゃったし。」



誰かさんのおかげで、と景は唇をとがらせる。



「あー…あれは悪かったって。」


視線を明後日の方向に泳がせると、頬を抓られた。



「痛いっつーの!」
「これでチャラ。」



景は笑って前を走っていく。



「あ、そうだ!」


思い出したように景が振り返った。



「髪、元に戻してよ。あの色似合ってたから。」
「お前が黒にしろって言ったんだろ?」
「本当にやると思わなかったからだよ。ごめん。ピアスも戻していいから。」



景はもう一度ごめんと口にした。



「じゃあ週末染めようかな。ピアス選びに行くの付き合ってくれる?」
「うん!」
「とりあえず今日はカラオケな。」



前にいた景に並んで、俺達は笑って歩き出した。



ちなみにカラオケで聞いた景の歌は、驚くぐらい音痴だった。




< 22 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop