【BL】仕方ないじゃん!
「そんな睨むなよ。いい加減言い掛けてたこと教えろって」
「………カラオケ行きたいなって思ったんだ。この前は楽しむ前に帰っちゃったし。」
誰かさんのおかげで、と景は唇をとがらせる。
「あー…あれは悪かったって。」
視線を明後日の方向に泳がせると、頬を抓られた。
「痛いっつーの!」
「これでチャラ。」
景は笑って前を走っていく。
「あ、そうだ!」
思い出したように景が振り返った。
「髪、元に戻してよ。あの色似合ってたから。」
「お前が黒にしろって言ったんだろ?」
「本当にやると思わなかったからだよ。ごめん。ピアスも戻していいから。」
景はもう一度ごめんと口にした。
「じゃあ週末染めようかな。ピアス選びに行くの付き合ってくれる?」
「うん!」
「とりあえず今日はカラオケな。」
前にいた景に並んで、俺達は笑って歩き出した。
ちなみにカラオケで聞いた景の歌は、驚くぐらい音痴だった。