【BL】仕方ないじゃん！

「景、待てって！」



何度引き留めても景は足早に進んでいく。



俺達の教室の前を通り過ぎても、足が止まることはない。



「なぁ、話ぐらい聞いてくれよ！確かにキスしたのは悪かったけど、あれは不可抗力ってやつで」


周りに聞かれたら困るから、小声で抗議する。



「俺の不注意もあった。でもしたくてした訳じゃない。」
「……………」



反応なし。

なんか浮気の言い訳してるみてーだ。

確かにキスしたけど……。



「景、頼むからそんなに怒らないでくれよ。」



そこでようやく景の足が止まった。

特別教室が並ぶこの廊下は、この時間人の姿はない。


「…………怒ってるわけじゃないんだ。」



俯いたまま景は言う。


え、怒ってねーの？

いやどう考えても怒ってたろ。



「律樹の意志でしたわけじゃないってのは、見てたんだから分かるよ。だから律樹に怒ってるんじゃない。」
「じゃあなんで逃げたんだ？」
「………見せつけられた気がしたんだ。」



景は両手を握りしめた。