【BL】仕方ないじゃん!



「あの子とキスしてるの見て、お似合いだなって思った自分がいた。それが悔しくて。」
「お似合いって………何にも嬉しくねーよ。俺が好きなのはお前なんだから。」
「分かってるよ。」



一旦、言葉を切り、唇を噛みしめている。



触れようと手を伸ばしたとき、景が顔を上げ、情けない眼差しで俺を見た。



「律樹を好きな気持ちはあの子にも負けない。でも……やっぱり僕は男で。あの子には勝てないんだって見せつけられた気がした。それが悔しかった。」
「景………」
「僕は胸を張って自慢できる恋人でもない。むしろ白い目で見られる。律樹の子供を産むことも出来ない。でもあの子は、そんな普通の幸せを律樹にあげれるんだって思ったら」



悔しかったんだと景は目を伏せた。



「一生かかっても、僕はあの子に勝てないんだよ。」



俺は伸ばした手で景の頬にふれた。



今、目の前にいる存在がとても愛おしかった。



景の言うことは正しいのかもしれない。


それでも―――。



「俺は絶対、景を選ぶよ。お前が男で、みんなから白い目で見られても、子供を産めなくても、普通の幸せってやつが手に入れられなくても。だって、そうだろ?隣に景がいなきゃ、幸せだなんて思えねーんだから。」
「………………」
「そう考えるぐらい、俺は景が好きなんだよ。こんなに好きになるなんて自分でも思ってなかった。」



気恥ずかしくて笑うと、景は俺を見つめ、頬を赤く染めて笑った。



「お前さ、遊び人がマジになるとしつこいって知ってるか?」
「そうなの?」
「そーだよ。地獄の果てまで追いかけてやる。」
「どうせなら天国行きたい。」


お互い目を見て笑い合った。



「あ、ねぇ、ちょっと屈んで。」
「こうか?」



言われた通りに少し屈むと、不意打ちとばかりに唇が合わさった。



「えへへ、消毒。」
「~~~~お前な。」



くそ………
油断した。

なんでこう俺が喜ぶことするんだよ。



「律樹、にやけてるよ。」
「るさい。」


緩んでしまう口元を押さえ、俺は小さくため息。





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