【BL】仕方ないじゃん!
「ねぇ、律樹これ作ってきたの。食べて」
「……奈美恵。お前な……」
昼休み。
いつもなら景と二人で昼飯の時間なんだが……
今日は俺達の教室まで奈美恵が押し掛けてきた。
「俺は弁当持ってきてんだよ。んなにいらねー。」
「じゃあ一口。ね?」
押しの強い女だな。
景はと言えば横で小さくなって弁当食ってるし。
「ね、律樹!ほら一口。」
「うるせーな。自分で食え、自分で!」
「いいじゃない、ケチ。あ、私喉乾いちゃった。景くん買ってきてくれない?」
この女……
景をパシりにするつもりか?
「だったら俺も行く。」
「律樹はいいの。一人で持てない量じゃないでしょ?」
問い掛けられて景は、愛想笑いを浮かべ頷いた。
「景、行く必要なんてない。俺が行くから待ってろ。」
立ち上がろうとした俺の腕に、奈美恵が縋りつく。
「律樹は行っちゃだめよ。」
「ふざけんな!離せって。」
やり取りの最中、隣の景が立ち上がった。
「僕行ってくるよ。何がいい?」
「景………」
「大丈夫だって。ただ、飲み物買いに行くだけなんだから。」
奈美恵は満足そうに、林檎ジュースと注文した。
「律樹は?」
「俺は、いい」
「じゃあ行ってくる。」
景はそのまま教室を出て行った。