【BL】仕方ないじゃん!
「ほんと、どうしたらそんなに変わるわけ?」
そうして奈美恵は俺から離れた位置に座り直した。
「遊び人が恋したら、呆れるほど一途になるのね。」
「……俺自身が一番驚いてる。」
奈美恵の呆れた笑いに、俺も同じように笑い返した。
それから俺は立ち上がり、ドアの前で奈美恵に振り返った。
「バラしたいなら好きにすればいい。でも景は傷つけさせないし、アイツと離れるつもりもない。」
「はいはい。もう充分です。」
奈美恵は舌を出して肩を竦めた。
「バラす気も失せたわ。勝手にラブラブしてなさい。」
ひらひらと手を振る動作をみて、ドアに手をかけた。
部屋を出る直前、奈美恵が俺を呼び止めた。
「律樹、独占欲強いタイプみたいだから、呆れられないようにね。」
「うるせーよ。」
自然に笑った奈美恵の顔にほっとして、俺はカラオケ店を出た。
数歩歩いて、ポケットから携帯を取り出す。
呼び出す番号はもちろん――。