【BL】仕方ないじゃん!
人気(ヒトケ)のなくなった公園。
そこに着く頃には俺の息は上がりきっていた。
ベンチに座る影を見つけて駆け寄る。
「景、悪いな。待ったか?」
「ううん。もしかして走ってきた?息上がってるけど…」
「ああ、ちょっとな。」
ふぅ、と息を一つ吐き出して、ベンチに腰掛ける。
「今日さ、」
「うん。」
「奈美恵とデートって呼べるのか分からないけど、まぁ似たようなことしてた。」
「うん」
「でも、俺はお前とデートしてた。」
「え?」
隣に座る景は不思議そうな顔で俺を見上げた。
俺はその表情を見つめ、笑顔を向ける。
「奈美恵と居てもさ、景ならこうだよなとか、景ならどんな顔すっかなとか……そんなことばっか考えてた。」
言ってるのは俺の方なのに、景の方が恥ずかしそうに顔を染めていく。
「おかしいだろ。目の前には居ないのに、俺は今日ずっと景とデートしてた気分だ。」