【BL】仕方ないじゃん!
「そんなことないよ。それに僕はそんなことぐらいじゃ傷つかない。むしろ律樹の恋人であることを自慢して歩きたいぐらいだから。」
それより、とさらに強い眼差しを景は向けてくる。
「僕は何も相談してもらえないことの方が傷つくよ。恋人なら何でも、隠さずに相談してほしい。」
景のこういう真っ直ぐなとこ、俺にはない。
「だから、律樹は酷い男なんかじゃないよ。」
ニコッと笑い、景は俺に向かって腕を伸ばした。
直後、カチッと耳元で金属音が鳴った。
「預かりもの」
言われて触れれば、耳にはピアス。
「……いいのか?俺はかなり自己中な選択をしたんだぜ?」
「自己中なんかじゃないよ。誰に何を言われても傷ついたりしない。隣に律樹が居てくれるなら。」
そう言って景はもう片方のピアスも着ける。
「男同士でも本気の恋愛が出来るって世界中に自慢するよ。」
「……ばーか。」
俺は、何を恐れていたんだろう。
世間が敵になろうと、
俺には景が居て、
景には俺が居る。
それだけで充分じゃないか。