俺にしとけば?
俺にしとけば?
「何探してんの?」
「えっ、」
振り返ると、すぐ背後に一つ上で同じサークル所属の先輩が立っていた。
「あ、え、っと、こんにちは。先輩、本を借りにきたんですか?」
「レポートの資料集めにね」
にこり、と目の前の見惚れるほど整った顔が爽やかな笑みを浮かべた。
どきりと心臓を高鳴り、それから酷い自己嫌悪におちいる。
「あの、私、今日は彼氏と、」
「図書館デート」
思わず口を噤む。
先輩は「さっき彼氏も見かけた」と言葉を続けた。
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