俺にしとけば?
確かに今日は彼氏に市立図書館につれてこられた。
デートではなく自分の資料集めを手伝わせるために。
……久しぶりのデートだと思ったのに。
不満顔を見せないよう俯くと、とん、とすぐ隣で軽い音がした。
「――あ、」
急いで顔を上げるけれど、もう遅い。
ぐっと顔を近づけた先輩は、さっきとは異なる妖しい笑みを浮かべた。
「彼氏がいるって……まさか俺に牽制してるつもり?」
どくんと激しく鼓動が脈打つ。
その通りだ。
だって私には彼氏がいる。
だから、先週告白してくれた先輩の気持ちに答えるのはタブーだ。
近すぎる距離に赤くなる私に先輩はくすくすと笑った。