俺にしとけば?
「苛々してるから何かと思ったら、久しぶりのデートでパシられて要求不満……とかね」
「っ違、」
「ガキじゃないんだから、もっと気持ちいい発散方法教えてやろうか」
「――……」
すぐ近くで彼氏が私を呼ぶ声が聞こえた。
キレやすい彼氏に先輩のことをばらされたら、何が起きるか分からない。
慌てふためく私を前に、先輩はおもむろに本棚から本を一冊取り出して開いた。
「んぅ……っ!」
先輩の顔が近づき、唇が重なった。
彼氏から顔を隠す本の向こう側で、口内を勝手に動く舌の腰砕けになりそうな愛撫に、ひくん、と肩を跳ねさせる。
「ちっ、」
今のがまさか自分の彼女だなんて思いもしなかったのだろう。
彼氏の舌打ちが聞こえ、足音が急速に遠ざかるのが聞こえた。