午前0時の図書館で
彼は、懐中電灯を点けて暗い館内を照らし出した。

「今日こそは見えるといいわね」

私はそう言って、彼に抱きつく。
ぬくもりのない身体の感触は、残念ながら彼には伝わらない。

「……やっぱり本の位置が変わってる」

怖々と彼が呟くのを見て、私は背後を振りかえった。
子供達が悪戯が見つかったような顔をして、クスクスと笑っている。
私も笑った。

「ねぇ、早く気づいて」

私達の存在に。
成仏できない私達を、あの世へ導く方法を教えて。

ううん、それよりも。
私達と遊んで。

―おわり―
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