REALLY
「……しゃーない、やったるわ。勝てばええだけの話や」

「話の分かる人で助かったよ」


「フン」と主人から目をそらし、反対側に置かれた椅子にドカッと座る。


「ほんで、あんさんは誰を賭けるんや。まっさかあのペット言うんやないやろなぁ?」


頬杖をついて悪態を放つ鶴嫁怪だが、主人は笑顔を絶やさない。


「私にだって大切な"人"はいるさ。それも2人ね。…あぁ、そういえば最近会ってないな」


「よし、今度会いに行こう」なんて一人で話を進めている主人に、鶴嫁怪は話しかける。


「そういやあんさん、名前は?」

「……名前。名前、ねぇ……」

「?」


さっきまでの饒舌はどこへやら。急に押し黙る主人に、鶴嫁怪は少々焦った。


「な、なんや。急に黙って……、あんさんに名前ないんかいな」

「うん」

「へぇー、そらお気の毒ぅ………………って、嘘やろ…?」

「………。」


なんやこの空気。重すぎやないの。なんて原因が言える筈もなく、両者沈黙。

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