REALLY



カルハが家を燃やしてから数時間後。

二人は未だに森をさ迷っていた。



「あぁーもうっ、どっから来たんか分からへんっ。目印もなんも無いやんけっ」

「そうカッカするな、鶴。別に迷ってもいいだろう?君程の力があればこの森の野獣だって逃げ出すさ」

「そーゆう問題やあらへんっ。僕は姐さんにはよ会いたいねんっ。はぁあ、姐さんごめんなぁ、今日中に帰る言うたんに……。もう少し待っとってなぁ」

「………。ホントに鶴は【お琴】が好きだね。その愛を私にだってくれればいいものを、」

「だぁーれがあんさんにあげるかいなっ。僕の愛は姐さんだけのもんや。誰にもあげる気あらへんわ」



後ろに付いてくるカルハからプイッと顔を逸らす鶴嫁怪をカルハが可愛いと思ったことは余談にして。

とにもかくにも、このままでは野宿確定だ。ただでさえ不気味な森に泊まるなど、よほどの肝が無ければ無理だろう。



「なあ、鶴」

「なんや。っ、ちゅーか何さっきから【鶴】って馴れ馴れしく呼んどんねん!鶴や呼んでええんは姐さんだけや言うとるさかいっ」

「別にいいだろう。減るもんじゃなし、それよりも疲れた。肩に乗せてくれ」

「はぁあっ?!肩にって……っ、そんなん無理に決まっとる………」



ふわっ…

鶴嫁怪の肩に何か乗ったと思えば、その何かからは温もりが感じられる。

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