REALLY
"黒い"影?影なら普通黒いだろ、なんて思う人もいるだろう。

だがソノ影は"黒い"影なのだ。夜という黒の世界でも目立つ程に、しかし紛れる程に黒いのだ。


これが普通と言えるだろうか。



「私は人を殺さない、絶対にね」


月明かりで見える主人の妖艶な笑みは、姐さんに劣らず綺麗だった。

いや、姐さんが一番やけども。


「…ペットを野放しにするやなんて、それこそ飼い主は責任を持っとるはずやろうに。ペットが人を殺したんは飼い主の責任、あんさんが悪いとちゃうん?」

「言うねぇ、君」


肩をすくませながら息を吐く主人。


「でも、」

「……なんや」


睨む鶴嫁怪に「おぉ怖い恐い」とおどける主人をさらに睨む。


「それでも私は悪くない。……ねぇ、君。私の嫌いなモノ知ってる?」

「知るわけないやろ」

「即答か。…まぁ、そりゃそうだよね。それじゃ、ヒントをあげる」


椅子をクルッと回してコチラに姿を見せる主人は、頬杖をついてコッチを見てくる。

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