ビターチョコレートに口づけを

「……決めたわ。」

「え?何を?」


勝手に何かを決意した兄に、驚きつつ、そちらを見ると、此方を呆れたように見る兄が。


「俺、週2はお前を送ることにするわ。」


ため息混じりに言うそれは、どう考えても兄のやる気のせいではない。


「はぁ!?なんで!?」

すかさず抗議を試みる。

「だってお前、毎日壱だっつったら、毎日あんなに早くいるつもりだろーが。」

「そうですが何か!?」

「威張るなっつーの。
する必要もない異常な早起きと、こんなくそさみぃ玄関での長時間待機を繰り返してみろ。
ぜってぇからだ壊すぞ。」


リビングについて、真っ先に冷蔵庫を開けた兄は、そこからミネラルウォーターを取り出して、そのまま全て飲み干した。


「……わかったな。」


その飲み終わったペットボトルをメキメキと潰しながら此方をにらむ兄に、嫌です、と伝える勇気なんかもちろん無かった。


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