ビターチョコレートに口づけを
「ははっ、顔、真っ赤だよ?
大丈夫。怪我してないか、見せて。」
そう嬉しそうに笑った後に、また私の顔を見つめる。
恥ずかしさを堪えて、素直にいっくんを見上げれば、良い子、と目を細めて笑う。
ううう……かっこよすぎ……
いっくんの容姿は、とてつもなく整っている。
真っ黒な髪は、傷みなんて知らず、さらさらとしていて、女の私より断然綺麗。
細められた目だって、まつげが長くて、目尻は少しだけ垂れている。
男の人のたれ目って、嫌われがちだけれど、だけどそれは全然おかしくなんてなくて、むしろいっくんの美人さと優しそうな顔をより一層引き立ててくれている。
鼻だってすっと通っていて、唇は薄い。
目尻にあるほくろは彼の色っぽさを全面に強調している。
絶対モテるんだろうな。
そう思うけれど、本人には聞けない。
いっくんの口から、うん、なんて言われたら、しばらく立ち直れない……って、何かんがえてんだ、私!
自分を軽く叱責して、下唇をかむ。
駄目だ、余計な事考えるな。
これ以上何か思ったら、何か絶対墓穴を掘る気がする。
そうだ、無だ。
何も考えるな。