ビターチョコレートに口づけを

「……何で唇噛んでるの?」

「ほっといてください!!!!!!」


不思議そうに首を傾げていたいっくんは、私の返事を聞いて、楽しそうに笑った。


「へんなゆう。」

「どーせ変だもん。」

「むくれないでよ。
ほら、血出ちゃうよ。
……困ったな。」


本当に困った、みたいな顔をして、そう呟いた後、彼はそっと、私の下唇のちょうど下の辺りに手を添えた。


「…!!!???」


意味が分からなくて、でも何だか恥ずかしくて、当然パニックに陥る私。

真っ赤になったまま、いっくんの目を見つめると、いっくんは優しくわらったまま。


「ほら、なんか噛んでいたいなら、俺の指を噛みなよ。
ゆうから血が出るより断然いい。」


ね?と笑って、本当にそれが良案みたいにいうから。

びっくりして、思わず力を込めてた歯から力を抜いた。


「あ、止めた。」

「あああああのね!!!!!ななななな、何言ってんの!!!!」


噛みまくりでそう言えば、添えられた手がゆっくりと離れて、なにが?と笑った。


「何が?じゃなくて!!!
そんなこと軽く言っちゃ駄目なの!!!」

「? 何で?」

「なんでも!!!!!」


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