ビターチョコレートに口づけを

そっか、とにこにこと平然と笑ういっくんは絶対にどこかおかしい。
天然というよりアブノーマルだ。

というか、あれだ。
鞄投げられただけで顔面チェックとか、ただ唇を噛んだだけであれとか、多分。

いっくんの中で私は、幼稚園生か何かで止まっているのではなかろうか。

だってさ、私、雪がいっくんと居るときに転んだところみた事あるけど、こんな扱いされたのみた事ないぞ?


「はは、ははははは。」


空笑いが溢れて、止まらない。
今まで笑っていたいっくんは、それをみた途端、びくりと体を揺らした。


「え、どうしたの?ゆう」

「あはは…なんでもないよ。ほら、送ってくれるんでしょ。行こう。」


そう言って、靴を履くのも適当になりながら、いっくんの腕を引いた。


どうしよう。
さっきのあれ、否定する要素が全くないんだが。


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