ビターチョコレートに口づけを

「なになにー?
ゆうちゃんったら、ロリロリしてる癖に、ヤることはちゃんとヤってるのー?やるねー。」

「え、相手だれだれ?
ちょ、めっちゃ気になるんだけど!」

「許さない…許さないわよ!
クラスのマスコットをたぶらかすなんて…!!」


口々にそう言うクラスメイトに、え、ちょ、と声をあげる前に、それは誰かの声で遮られてしまう。


「あ、そういえば私見たんだ!
ゆうちゃん、今日彼氏に送ってもらってたでしょー?」


誰かがぽつり、とそう呟いて、話は更に燃え上がる。
当事者を遥か彼方に残して。


「え、まじ?イケメン!?イケメンだった。」

「もうね、信じられないくらいかっこ良かった。まじぱねぇ。」

「まっじー?超拝みたいわ!」


キャッキャッと盛り上がる会話に、全然のれない私。

ちょっと待って。何これ女子高生怖い。


「ねぇ、今日の帰りも送ってもらうの?ちょっと見せて!!!お願い!!!」

「ばっか、お前。ゆうゆうの彼氏だっつってんだろ。
手出したらぶん殴るよ?」

「な、違う違う!
ほんとイケメンを拝みたいだけだって。
流石に人の彼氏に手は出さんわ!」

「ゆうちゃん、こいつにだけは彼氏見せない方がいいよ。」

「さんせーい!」

「みんなひっどーい!!!」

「…から…」

「ん?」
「え?」

「お願いだから話をきいてー!!!」


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