代わりの人形
「ねぇ、美穂ちゃん。」


「んっ!?」


「俺、前から美穂ちゃんのこと
好きだったんだ。」


「えっ!?」


お酒を飲みながら、目も合わさず
恥ずかしそうにそう言った彼の親友。


私が顔を覗き込むと、照れながらも
甘いマスクでニコッと微笑んだ。



「俺なら寂しい思いはさせないのに・・・」


そう言って私の手に
そっと自分の手を添えて来た。



きっといつもなら上手く交わせるのに、
こんな言葉に惑わされないのに、

お酒の力って怖い・・・


それとも私が何かに欲しているから?


美穂はその手をそっと握り返し、
可愛く微笑んだ。



そう、私の何かがフッと切れた瞬間だったんだ。


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