あの夏の永遠～二度と会えない君へ～

悪夢の始まり

人妻中学音楽教師

『ヒロちゃん……今の声は……

どうして……？

もう連絡とってないって言ったじゃない……

どうして……？どうして……？

何がいったいどうなってるのか、きちんと説明して！
早くしないと、向こうは来るって言ってるのよ！』

江梨はボイスコンパニオンをしていただけあって、一度聞いた声を瞬時に聞き分ける能力を持っていた。

ヒロの留守番電話に入ったメッセージの声の主は、いつか江梨に暴言を吐いた江梨よりもまだ年上の中学の既婚者の音楽教師だった。



『泣いてる場合じゃないわよ！泣きたいのは私よ！

いつから？会ったの？』

「うん」

泣きながらヒロが言った。

『まさか……まさか……もう寝たの？』

「ごめんなさい……」

『いつから？ねぇ、いつから？』

「前に電話がかかってきたでしょ？あの次の日、会わない？って電話があって……」

『その日にもう！？』

ヒロは泣きながら頷いた。

『酷い……
あのさっき捨てたのも皆その女が持ち込んだものでしょう？』

「うん……」