あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
『酷いよ……。私がどんな思いで、今日まで過ごして、ヒロちゃんの卒業を待っていたと思ってるの?
出産までにかかるお金だって、全部苦労して私が何とかしたのに、男女二人ずつでアメリカに卒業旅行まで行って……。
その上浮気だなんて!もう許せない。もう待ったりしない。婚姻届けを朝出しに行くわ』

「違う相手としてみたかったんだよ!
江梨ちゃんなんか俺以外の男も知ってるんだから、不公平でしょ!」

ヒロが開き直った。

『私は結婚経験もあって子供もいて、あなたよりひとまわり年上で、離婚してから誰かと付き合いもしてるんだからあたりまえでしょ!
ない方がおかしいじゃない!ヒロちゃんと会ってからは誰ともしてない!』

「でも俺より多いくせにずるい」

『出会う前の事が問題なんじゃないよ!知り合ってからが、今が大事なのよ!……とにかく鍵を変えなきゃ』

江梨は、この夜の後の記憶を三日後に完全に無くした。



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