あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
ただうっすらと覚えているのは、男友達に泣きながら鍵の交換の費用を貸して欲しいと電話して頼んだ事。

それから何をどうしたのかわからないけど、朝までに鍵をつけかえた事だけだ。


そして朝が来た。

ガチャッ
ガチャッ

女が鍵穴に鍵を入れて合わないので焦っている。

まるでホラー映画のように、私とケイも部屋いるのに平気で鍵を開けて、いきなりそんな行動にでる自体頭がおかしいと江梨は脅えた。

暫くピンポンを押し続けドアを叩いて呼び続けた後、新聞受けに何かがドサッと落ちた。

足音が遠ざかってから見ると、封筒にぎっしり詰まったヒロとその女の写真だった。

カラオケで頬を寄せている姿、まるで親子のようでである。

狐顔の気持ち悪い顔でニィーっと笑い、口紅が少しも似合っていず、腰にも肉がつき、三十どころか四十にしか見えなかった。

私はその写真を、もしもの時の為にヒロからとりあげてバッグにしまった。

『酷いよ!どうして?私より若いとかすごく綺麗だったとか、顔はイマイチでもすごいナイスバディならまだわかるよ?
なんでこんな老けた、どこも魅力のない気持ち悪い不細工な人なの?
こんな人の体によく口をつけられたわね!』

江梨は怒りで気がおさまらずに、思ったままの事を言いヒロを責めた。

ヒロは言った。

「女なら誰でも良かったんだ……」

驚愕する女の行動はまだここからだった。
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