あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
次の夜、江梨は用があってちょっと外に出たら、暗闇から大男に掴みかかられ、突き飛ばされた。

ヒロの父親だった。

私はすぐ部屋に入り、ロックしてドアチェーンをかけた。

ちょっとでいいから開けてくれと、ドアチェーンから子供にと、パンを差しこんだりしてきた。

(あなたの孫でしょう……)

ヒロは奥で固まっていた。

でも江梨が、ちゃんと両親と話し合わせようと、チェーン越しに話せるようにヒロを連れて来たその時、ヒロの母が、

「イタタ……ヒロ、お母さん長い時間車に乗って腰が痛いんよ。

車で座って話そう。
銀行もやめさせたし、これからの事を話そう」

(銀行を勝手にやめさせた?)

それを聞いてヒロの顔色が変わった。

もともとやめたがっていたが、収入源が絶たれたら私達を養えないからだ。

「少し行って話してくる。心配いらないよ、大丈夫」


< 122 / 224 >

この作品をシェア

pagetop