あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
ところが、まさかの事が目の前に起こった。

渋々ヒロが車に乗りドアを閉めたら、ヒロの父親と母親は示しあわせていたらしく車はいきなり急発進した。

あっと言う間の事だった。

江梨はケイを抱いていたので、塀を飛び越える頃には車は角を曲がった。

その時の赤いブレーキランプは一生江梨の目から消えなかった。

ケイを抱き、ヒロのいなくなった路地でただ立ち尽くしていた。



ヒロはさらわれてしまった。

部屋に上がるとヒロの脱いだ服や時計や鞄が、玄関には靴があった。

ヒロも予想してなかった事で、江梨のトレーナーにサンダルで出て行ったのだ。

江梨は泣きもわめきもしなかった。

いや、出来なかったと言う方が正しい。

江梨は心に覆いをかけた。

そうしなければ生きていけないと思った。

ヒロは死んだ……

私の最愛の人は事故で死んでしまった……

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