あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
ヒロと江梨が隠れて話していた全てを江梨はカセットに録音した。

それが最後の声になるかも知れなかったし、生きる糧になるかも知れないし、ケイに聞かせてやりたかったのだ。

しかも、ヒロの本心を知って貰えるから。

ところが調停員は全面的に弁護士を立てて江梨の言い分を聞かず、おまけに別れると言えと粘り部屋から三時間も帰して貰えなかった。

弁護士から内線がかかる度、

「あっ、時間がないんですか!早く済ませますから。

なかなか別れるって言わないんですよ。」

そんな信じられないような事を言って、さらに、

「早く別れるって言わないと、あちらが困っていらっしゃるじゃないの!
あちらのご両親は年内にすっきりしたいとおっしゃってるんだから!」

と、まで言う。

よけい、万一別れるようになっても、年内には絶対別れない!と、江梨は思った。

自分やケイを汚物みたいに言って欲しくない。
< 131 / 224 >

この作品をシェア

pagetop