あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
江梨がやっと帰らせて貰えたのは、入室して三時間後で辺りはもう薄闇だった。
『帰ります』
と、言うと、普通は帰さないといけないのに、腰をあげる度に調停員が二人がかりで江梨を帰さなかった。
(これって違反じゃないの?)
江梨は泣きたくなった。
やっと家庭裁判所から出て、お堀を路面電車に沿ってトボトボ歩き、公衆電話に入ったら電話機の上に誰かが分厚い事務封筒を忘れていた。
中を見ると、
「花き」
と言う見慣れない課がたくさん印刷され、通帳が数冊と通帳の数と同じだけの印鑑と三千円が入っていた。
何て読むんだろう……交番まで結構遠いのになと思いながら、それを抱えて出て歩き出すと、後ろから男の人が走ってきて江梨を呼びとめた。
『帰ります』
と、言うと、普通は帰さないといけないのに、腰をあげる度に調停員が二人がかりで江梨を帰さなかった。
(これって違反じゃないの?)
江梨は泣きたくなった。
やっと家庭裁判所から出て、お堀を路面電車に沿ってトボトボ歩き、公衆電話に入ったら電話機の上に誰かが分厚い事務封筒を忘れていた。
中を見ると、
「花き」
と言う見慣れない課がたくさん印刷され、通帳が数冊と通帳の数と同じだけの印鑑と三千円が入っていた。
何て読むんだろう……交番まで結構遠いのになと思いながら、それを抱えて出て歩き出すと、後ろから男の人が走ってきて江梨を呼びとめた。